ザリガニがいる川はきれいな川なの?

ザリガニ釣りから考えること

子供の頃にザリガニ釣りを経験した人は、ご存知でしょうが、ザリガニ釣りは案外手軽にできる遊びで、とてもおもしろいものです。

棒の先に糸をつけて垂らし、その先におつまみ用のさきいかを結び付けて水の中に入れると、ザリガニがすぐに食いついてきます。

正確に言えば、食いつくのではなく、あの大きなハサミでさきいかをがっちり挟んでくるので、そこを狙って糸を引き上げるのです。

水深の浅い場所であれば、ザリガニが歩いてくるところや、さきいかを挟んでいるところが見えるので、なおのことおもしろいでしょう。

市街地から程近い、小さな池や川でザリガニが釣れる様子を見た人たちのなかには、「こんな町のなかにも自然が残っているのね。こんなにザリガニがいるなんて。」という人がおられます。

そう、こんなに大きな生物が棲んでいるのだから、豊かな自然をイメージするのでしょう。

しかし、現実は違います。

ザリガニが棲む川は、とても汚れた川なのです。河川の汚れを示すものに生物指標というものがあります。そこに生息する生き物の種類で、川の水の汚れ具合を知るのです。

サワガニや、カワゲラ、プラナリア(ナミウズムシ)などが生息するきれいな川から、トビケラなどが棲む、少し汚れた川、そして、ヒルなどが棲む汚い川と続き、アメリカザリガニやイトミミズが棲む川は、最下層の最も汚い河川とされているのです。

ザリガニは自然の象徴ではなく、自然破壊の象徴だったのです。

川はなぜ汚れるのか

川は、山奥で水が寄り集まって流れていくとことろから始まります。始めはきれいだった川の水は、下流に行くに従ってだんだん汚れていきます。川が汚れるのは当たり前のことです。

なぜなら、川の中や、川のそばに生息する生物の死骸や糞、食べ残しが流れていくし、川の周りの植物の枯葉や枝、木の実なども当然川に落ちていくからです。

でも、これらは河川の汚れの大きな原因であるとは言えません。本当に深刻な河川の汚れは、人為的なものがほとんどです。

私たちの日々の暮らしによって生み出される生活排水もそうですし、工場からの排水、農地から流出した肥料、家畜の糞などさまざまなものが川の水を汚しているのです。心ない人たちによって、川に直接捨てられるゴミも当然川の汚れにつながっていきます。

沿線に工場のない川は、清流を守っていることがありますが、人の暮らしにとって水は必要不可欠なものであり、河川は人間の生活に密着するものなので、川のそばに人が暮らしていない環境なんて、わが国ではほとんどあり得ません。

人が水を汚しているのが明らかなのに、人は水から離れることはできないのです。それならば、大切な美しい水を自分たちで守っていくしかありません。

河川を汚さないためにできること

かつて、日本の河川はとてつもなく汚された時代がありました。

高度成長期を経て、工場がどんどん立ち並び、人々の生活はどんどん便利になっていきました。その代償に、廃棄物によって都会の川は魚がすめないほど汚れ、臭いが立ち込めるドブ川に変貌しました。

それを嘆いた人々は懸命に努力し、河川の水を浄化する活動を続けた結果、また清らかな流れを取り戻した川が最近では多くなりました。

それでは、人々はどのようにして川を守っているのでしょう。そして、河川の水を守るために、私たちはこれからどうすればよいのでしょう。

河川を汚さないために、国や自治体は下水道や浄化施設を整備し、汚れた水が直接河川に流れ込まないようにしてきました。このような大きな事業は無理でも、私たち一人一人が川の水の保全のためにできることがあります。

それは、生活に使った水をできるだけきれいな状態で排水することです。台所では廃油を直接流すなんて、もってのほかです。

使った油はできるだけ、固めて燃えるゴミとして廃棄し、フライパンなどに残った油も拭きとってから洗うようにするだけでも大きな効果があります。そうすることで油による水の汚染を防ぐばかりでなく、使う洗剤の量も減らせるのです。

また、食べ物の残りカスなどは、三角コーナーや、排水溝にネットを掛けることでできるだけ流さないように心がけること、しょうゆやソースなどの濃度の高い液体を直接流さないことなども大切です。

そして、お風呂でも石けんやシャンプーを必要以上に使わないことも、小さな努力ですが大きな効果があります。

小さな小さな取り組みでも、私たちが実践することによって環境の保全につながることは結構あるのです。

もし、この記事を読んで、今まで平気で台所からたくさんの廃棄物を出していたことに気づいた方がおられたならば、ぜひ小さな努力を始めてみてはいかがでしょうか。

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